救い

 誰の目にも同じように映るんだと、安心して嬉しかった。
 終わらない猛暑の中で元気で暮らすのはむつかしい。自分の体調を嘆くことが多いが、そんな中で、時に勇気をいただき、鼓舞される人々がいる。
 僕は以前からその筆頭として、道路工事の現場で交通整理するガードマンの方々を上げている。炎天下、身を守る陰もないところに長時間立っている。10分と持たないだろうと自分の体力を基準に考えてしまうが、通り過ぎる車からではどのくらいの時間そこに立っているのかは分からない。恐らく工事が終わるまで、常識的には8時間労働ではないかと思われる。
 彼らの働き方を思いやるのには2つの理由がある。一つはその日焼け具合。黄色人種でもここまで黒くなれるのかと言うくらい焼けている。もう一つは年齢、僕より上の人さえいるように思う。最近では女性も見受けられるようになった。
 しんどそうな僕を鼓舞しようとして妻がその話を持ち出したのだが、次の一言が嬉しかった。「私は、頭を下げて通り過ぎる。牛窓の人は頭を下げてお礼を言っている人が多いと思うよ。よくそんな光景を見るから」
 そうか、僕だけでなく多くの人が感謝の意を表しているんだ。特に牛窓でよく見かけると言うからなお嬉しい。恐らく全国同じ光景なのだろうが、そうなるとなおの2乗嬉しい。ハイテクを駆使できる人たちが巨万の富を築く時代に、わが肉体を駆使して生活費を稼ぐ。そんな姿が美しくないはずがない。救いは心の目でなら、いくつでも見つけることができる。