気配

 7時にシャッターを下ろしてテニスコートに侵入すると、すでにかなり薄暗い。20分ウォーキングをして帰るころにはかなり暗くなるのではないか。夕暮れ時の散歩をする人が多く行きかっていたが、それらの人たちを目撃することもなくなった。季節は淡々と歩みを進めている。 
 今日のテニスコートには若干生暖かいが風が吹いていて、遠く九州の西を北上している台風の気配を感じる。それこそ遠くのはずなのだが、中国地方の東の端の僕の町にまで風を運んでくる。沖縄あたりで発生した台風が瞬く間に大きく強くなった。従来ならあの緯度で発生した台風が、あの緯度で発達することは珍しいらしいが、いとも簡単に過去の常識を翻す。
 最近は、定番の被災地と言うのがなくなって、どこが注目を一身に集める被災地になるか分からない。不幸を、不運をアホコミは垂れ流して金にするが、誰も屈辱の被写体にはなりたくないだろう。
 多くの人が命や財産を失う季節がすぐにやってくる。カジノ誘致に現を抜かす政治屋どもに、災害に泣かされる庶民の不安は届かない。何も手を打たず、企業の儲けしか、いや自分の政治屋稼業のうまみしか考えないやつらをのさばらせているのは、こともあろうに濁流に流され、山崩れで埋まる可能性が高いところに住む人たちでもあるのだ。