狙いすまして３軒回ったのだが空振りだった。いやいや、トイレットペーパーを買いまわったのではない。もう話題にもならないから恐らく、それは行き渡っているのだろう。
僕が梯子したのは「カニ」だ。ニュースで料亭や旅館が暇だから値崩れしていると聞いたのだ。スーパーでしばしば目撃していた大きな足のパック入りは、値段が高いから買ったことはない。美味しいことはわかっているが、我が家にはぜいたくなような気がして買ったことはない。ずっと以前、漢方薬の研究会で山陰に行ってカニを食べたことがあるのだが、それはそれは経験したことがないくらい美味しかった。瀬戸内のモガニもとてもおいしいのだが、何分小さいから食べにくい。その点山陰のカニは大きいから食べやすい。食べやすくて美味しいとなれば太刀打ちできないが、値段もついでに太刀打ちできない。
コロナに便乗して今なら食べられると思って勇んで買いに行ったのだが、3軒とも全くなかった。こんな光景は見たことがない。買わないけれど陳列場所くらいは頭に残っている。そこにはもちろんなかったし、今がチャンスと特売コーナーでも作っているのかとかなり慎重に探したけれど結局カニの姿はなかった。
まさか、カニまで買いだめ？買占め？そんなに世の中裕福なのだろうかと思ったが、理由はわからない。コロナで漁がおこなわれないこともないし、流通がストップするはずもない。やはり、買いだめなのか？
昼ごはんの用意はいらないと大見えを切って出かけたのに、結局僕が買ったのは、いつものように「ナマコ」498円のみ。慌てて料理を始めた妻に悪いことをした。
