修正

 こんなに狭い一部屋に2人で住んでいたのか?こんなに物を持っていたのか?小さなアパートが乱立して、どこの国の人間か分からないような浅黒い肌の若者をこんなに見かけるのか?こんなに無作法な日本人の客が集まるコンビニで買い物をしなければならないのか?  次女と三女が今日我が家に引っ越してくるから、引越しの手伝いの為に初めて二人が暮らしている場所に行き、アパートに入った。2年近くこんなところで暮らさせていたのかと後悔した。もっとも、嘗ての僕のほうがもっとひどい環境だったから若い時には必要な洗礼かもしれないが、その2年間でもっと他の経験をつむことが出来る環境もありえただろうなと思った。引っ越している途中で他の部屋の住人が出てきて、2人が挨拶をしなかったことにも驚いた。そんなこと(無視)ができる2人ではないのだが、自然に防御の術を身につけたのだろう。  岡山市のあまり評判のよくない所から、やっと日本人の情を感じることができる場所に来させる事ができる。もっとも次女は数年前に牛窓で3年間実習生として働いた経験があるから、いわば帰って来ることになるのだろうが、縁とは奇なるものだ。誰がこんなことを想像できただろう。4年前に実習を終えて帰国する次女が、帰国する夜にやってきて涙の別れをした。もう2度と会えないと当然思っていたが、その子と一緒に暮らすなんて。  子供が育ち、何も手伝ってあげるものもなく、むしろ煙たがれている事が分かるから、何のために毎日頑張るのか、その理由探しに苦労していた。これで日々の頑張る理由が見つかった。職業的なことだけでは到底満たされない、バランスを欠いた日常が修正されるのではないかと期待している。