評価

 ある施設に実習に行き、その後レポートを書いて発表したらしい。その発表を聞いて先生は涙を流したらしい。他の先生も涙を流していたと教えてくれた。生徒の発表を聞いて涙を流したのは、20年の教員生活で初めてだと言っていた。  次女も三女も介護の専門学校でとても大切にされていた。その学校の上位の肩書きを持っておられる3人の先生と話す機会を得たが、どうしてこんなに親切にしていただけるのか分からないくらいだった。そこでその理由を尋ねてみると、2人の生活ぶりと向学心をとても高く評価してくれていて、二人がこれから外国人学生の受け入れのためのよき先例となったみたいで、「手放したくない人」と表現してくれた。若い学生の模範になっているらしい。  現地法人の数千人の中から選抜されて嘗て日本で働いていただけあって、自分を律する力は強いと思う。最初のときとは違う目的を持って来日して、その新たな目的に沿って懸命に生活している。決して楽な日常ではないが、全くぶれない。経済のためでなく、享楽のためでなく、将来の意味ある生活の構築のために、今日本でなすべきことを知っている。  今まで二人を主観で判断していたが、そしてその判断にはかなりの自信を持っていたが、第三者から想像以上の評価を得ている事がとても嬉しかった。そしてかなりの肩書きを持つ人たちが僕を信用して二人を任せてくれたこともまた嬉しかった。  何年もの間に、延べにしたら50人くらい僕を「オトウサン」と呼ぶ娘や息子を持ったが、やってきたことがいいことだったのだとつくづく思った。僕は常に、彼らから形はないが大きな目に見えぬものを頂いている側だと認識して出会いに感謝している。