大食い

 見たくもないのに、偶然そういった番組が他の内容の途中に挟まったので見てしまった。  想像を絶する量の食べ物を、平らげることができるかどうかと言う内容で、ただそれだけのものだ。人が食べるのをテレビ画面の向こうで見せるだけの、僕にとっては一番嫌いな番組だ。どうして人が御馳走を食べているのを見なければならないんだと、不愉快で仕方ない。だからチャンネルを一瞬にして変えるのだけれど、家族も一緒に見ていたのでそのタイミングを逸した。  食事をしながら息子が突然「あの人は、救急で来て、内視鏡で食べたものを排出してあげた」と言った。最初どういう意味か分からなかったが、大食いをした後は食べたものを吐いて出すのだそうだ。ところが、吐けなくて慌てて救急でやってきたらしい。それで納得だ。どうしてあんなに食べられるのだろうといつも不思議に思っていたが、出すのなら分かる。牛の反芻みたいなものだ。要は一時預かり所なのだ。正に胃「袋」だ。本当はこの事実以上に深刻なことを教えてもらったが、気の毒で書けない。  それにしても、時々新聞の投書欄に載るが、テレビ番組を作る人間の知能の低さが加速度的に進んでいる。どうせ馴れ合いだから国も免許を与えているのだろうが、本当なら新しい組織と交代させるべきだ。あいつらが電波を独占的に使うなんて愚の骨頂だ。そんなレベルの集団ではない。メーカーも良くぞあんな低俗番組のスポンサーになるものだと思うが、恐らく余りかえった内部留保を経費で落とそうとしてあんな番組にでも金を出すのだろう。僕は基本的には買い物をしない、無駄なものは持たないと決めているから、テレビのコマーシャルに購買行動を左右されることはない。いやむしろコマーシャルを見ながら、買ってはいけない企業を見つけている。  どうやらこの国は、一億総白痴化、いや一億総無力化して、何でも言うことを聞くロボット以下の人間を着々と製造しているらしい。低俗番組はひょっとしたら練り上げられたあいつらの戦略なのかもしれない。