世も末

 張本人が言うのだから鵜呑みには出来ない。寧ろそれより悪い状況を想定した方がいい。それにしても、作業員がその場に法律で規制された被爆量を超えないと思えば1分しか留まれない、4時間いたらどんな人間でも死んでしまう放射線量と聞けば余程のお人好しでも、もうほとんどその地に希望がないことは分かるだろう。これから同じようにどんどんタンクから汚染水が漏れ、隠しきれない地下水汚染も表沙汰になれば、老い先短い人以外は脱出しなければならないことになるだろう。奴らはこの期に及んでまだ「安全」を繰り返すだろうが、こと放射能に安全なんてあり得ない。  一体、1分しか留まれない状況でどんな作業が出来るのだろう。現場に着いて道具をポケットからとりだしたら、そそくさと逃げなければならない。そしてその作業員は、もう1年間仕事は出来ない。一体どのくらいの人間をかき集めれば、作業が継続できるのだろう。24時間突貫工事しても1日1400人の人間が使い捨て状態になる。無限に労働者が集まるとでも思っているのか。 江戸時代なら打ち首獄門になるような奴らが、この世の春を謳歌している。すきま風に凍える庶民がそれを崇め支えているのだから、世も末だ。