無茶苦茶

 「孫が今日学校が休みなんじゃ、本当に困る」と独り言か聞いて欲しいのか分からないような言い方をされたが、意味も分からなかった。  小学生だから今日は始業式の日だろう。学校を休むと言わずに学校が休みと言ったから、僕には分からなかったのだ。男性が不機嫌な様子で教えてくれたのは、今日は大雨で学校が休みになったけれど、雨は降っていないし、牛窓に警報は出ていないはずだと言うことだった。確かにその男性が買い物に来たときには雨は降っていないかったし、早朝の雨も小雨くらいだった。結局夜になってこの文章を書いているが、ほとんど雨は降らなかった。男性が困ると言った意味は分からないが、僕は違う意味で問題だと思った。  小学校の高学年の頃の夏の遊びと言えば、初盆の家が流す精霊船を翌日手に入れて、手作りのオールで沖にこぎ出すことだった。簡単な作りの1メートルくらいの精霊船は、ほとんど夜の内に転覆するから提灯やお供えの果物などは翌日には無くなっていて、死者の気配を感じることもなかった。今思えば罰当たりなことだが、そんなことは誰も考えなかった。大人に注意されたこともない。懸命に水を掻き出さないと沈みそうな船(?)に乗って、小学生が漁船が行き交う沖まで漕いで出るのだから危険このうえない。当時の牛窓の子は小学校の高学年にでもなると、ほとんどの子はいつまでも水の上で浮いていることが出来たから、親も心配しなかったのだろう。親に気をつけろと言われたこともない。台風の前日くらいには高波を楽しむために海水浴場にわざわざ泳ぎに行っていたくらいだから今思えば無茶苦茶をしていたことになる。  土砂降りの雨くらいうたれればいいと思う。山が崩れてきそうな所などないのだから。守ろうとしているのは大人の立場で、逃れようとしているのは大人の責任だと思う。子供には立場や責任はない。