そのニュースを見て残念と言うか、怒りと言うか、マイナスの感情が反射的に湧き上がった。
 僕も2度、船の上で恐怖を感じたことがある。一度は春一番が吹いて瀬戸大橋線が止まり、急遽、丸亀から高松まで電車で行き、宇野港を目指してフェリーに乗ったときだ。瀬戸大橋線が止まるのだから風速は20メートル以上あっただろう。高松港を出たところから急に波が高くなり、船が揺れる度に、僕の視線が海面と同じ高さに見えた。車が50台くらいは優に積めそうな大きなフェリーなのに、こんなに揺れるのかと恐ろしかった。僕は泳げるから何とか浮くものにさばればいいが、泳ぎが出来ないベトナム人を4人連れていたから、責任感もあって余計怖さを感じたのだと思う。
 2回目は牛窓の前島フェリー。ナメソを見る会と言うので、これまたベトナム人を連れての乗船だったのだが、牛窓港を出て前島の東側に出たとたん、さっきまで静かな海が結構高い波に変わった。前島フェリーは、宇高フェリーまでは大きくないが、それでも20台くらいは車が積めるフェリーで、漁船に比べたら巨大だ。それが島に遮られることがない海域に出ただけで海の様子が一変した。
 恐らく、宇高フェリーの時は2メートルくらい、いや2階から見るから高さは正確には把握出来ないが、よくあって3メートルくらいだと思う。牛窓で見る台風の時の波くらいに思えたから。前島フェリーの時はもっと低くて、1メートルから1メートル50センチくらいだろうか。
 僕が、昨日の北海道の観光船のニュースを見て怒りを覚えたのは、あんな小さな観光船が3メートルの波の中に出て行ったと言うことだ。プロならその無謀ぶりは分かると思っていたら、案の定、他の観光船のスタッフが危険だから出港するなと助言したらしい。売り上げが欲しかったのか、楽しみにしていただろう観光客に断れなかったのか分からないが、素人の僕でもわかる判断が下されなかったのが残念だ。
 板切れ1枚下は地獄。前島フェリーの船長が教えてくれた言葉だ。牛窓の船乗りだけの言葉には思えないのだが。

 

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