抹殺

 普通僕らが毎日浴びる放射線の強さは、マイクロシーベルトで表される。その1000倍がミリシーベルト、またその1000倍がシーベルト。と言うことはこの作業員が吸い込んだ放射線の強さを表現するには、僕らの日常と比較すると1000000倍の単位が必要と言うことになる。100万倍といえばもう想像がつかないが、地球の1周は40mの100万倍。100万匹の蚊の重さがペットボトル1本分の水と同じ。富士山の高さの100万分の一は3.7mm。これは計算上のもので、実際にはイメージできない。結局想像もできないくらいの途方もない量ってことだ。その量をその作業員は浴びてしまったってことだ。今日になって浴びた量をもっと引き上げたが、元々分からないくらいの量を浴びた人にとっては同じことだ。恐らくこれからそれこそ想像もつかないような深刻な症状が現れてくるだろうが、それをまたあいつらは隠すのだろう。  あいつらにとって大切なことは作業員の健康ではない。原子力安全神話だけが大切なのだ。この神話が崩れると汚リンピックの正当性さえ崩れる。正常な神経の持ち主ならとうに神話は崩れているが、それで金儲けをする人間達にとってはまだまだ崩すわけには行かない。アンダーコントロールとアホノミクスが世紀の大嘘をついたが、それがばれることにもなる。僕は作業員が最高の治療が受けられるか心配だ。個人が抹殺される時代にもう入ってしまったから。

茨城県大洗町日本原子力研究開発機構大洗研究開発センターで、ウランプルトニウムが入った保管容器から放射性物質が漏れて作業員5人が被曝(ひばく)した事故で、原子力機構は7日、このうちの1人で50代の男性職員の肺から、2万2千ベクレルのプルトニウムが検出されたと発表した。暫定で1年間に1・2シーベルト、50年で12シーベルト内部被曝をする値で、過去にこれほどの内部被曝をした例は、国内ではないという。