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 メールに添付された写真を見て唖然としている。70年前のマスコミがそうだったように、現代のマスコミの無能さもまた負けていない。真実を伝える気概がないのか、知能がないのか、スポンサーしか実は見ていないことの現れか、権力が恐いのか、いずれにしてもパソコンの画面に釘付けになった。 漢方薬を送っている関東地方に住むある女性は、恐らくある会社の社長のお嬢さんだ。電話での話しぶりがいたってざっくばらんだからその様には感じられないのだが、何となくそんな気がする。会社は東北地方にも支店を持っているらしくて、従業員が写した郡山の資材置き場の光景をメールで送ってくれた。作業員姿の男性が写っているなんでもない光景なのだが、問題は一緒に写されている簡易型の放射線測定器の数値だ。2.01マイクロシーベルトを示しているのは、小学校のグランドと接している資材置き場の入り口、14.48マイクロシーベルトを示しているのは資材置き場の中。年間に直すとそれぞれ17㎜シーベルトと126㎜シーベルトだ。前者でもほとんど放射線の管理区域(病院のレントゲン室みたいなところ)なみにあたり、後者などほとんどチェルノブイリ以外にはあり得ない数値だ。こうした数値が恐らく日常的に検出されているのに、役所もマスコミも何を守ろうとしているのか部外には出さない。少なくとも市民県民の健康は守ろうとはしていないみたいだ。守りたいのは産業ばかりと見える。経済という名の数字にどれだけの人間が嘗て殺され、今も又殺されようとしていることか。全国紙とローカルの内容は違いますよと付け加えてくれたが、さもありなんと思う。  知ってか知らないでか、いや恐らく地元の人の中では当たり前のこれらの汚染を、それぞれの理由で耐えている地元の人達が不憫だ。小出先生は、福島の肉や野菜や魚は、絶対に安全だとだまし続けた国会議員や東電の社員に食べてもらったらいいと言っている。僕はそれに加えて、誘致した首長、市町村会議員も加えるべきだと思っている。  国が責任をとるだなんての常套句で軽くあしらわれる田舎のお人好しに僕らの命を削られたりしたらかなわない。責任をとったやつなど見せてもらったこともないのに。誰も責任をとらなくてすむ産業がこの世にあるのだろうか・・・いやあった。