不安

 2013年時点の結果だから恐らく今はもっと数値は上がっているだろうが、中国の糖尿病有病率が上昇し、中国は今や世界最大の糖尿病蔓延国であることが明らかになった。2013年時点で、中国本土の成人における糖尿病有病率は10.9%、糖尿病前症有病率は35.7%と推定されたという。

 もうかなり昔だが、中国のお茶が随分ともてはやされたことがある。やたら健康にいいと喧伝されたあの頃、別に中国人がウーロン茶を飲んで健康だったりスリムだったりしたのではない。要は貧しくて摂取カロリーが極端に低かったのだ。当時何を食べていたのかしらないが、糖尿病になるほどの贅沢は出来なかったのだろう。ところが、現在は多くの人の生活水準が上がって、少なくともたらふくには食べれるようになったのだろう。農村部はなかなかマスコミで紹介されないから分からないが、少なくとも都会では、ファーストフードなどで満腹を得ることは誰にでも出来る水準になっていると思う。  次に紹介する内容は全国でマネー・カウンセリングや講演を行う田口智隆氏のものだが、結構分かりやすい。恐らくかなり精度の高い考察だと思う。

収入の低い人の食事の目的は、主に『今、お腹を満たす』ことが多いです。だから、昼食はラーメン&ライスや丼もの、パスタ類、パン類など、炭水化物中心になりがち。そのほうが料金も安い。ところが、収入の高い人の食事の目的は、『体にいいものを摂取する』ことです。自分の体は食べ物でできていることをよく承知して、食事は将来への投資という感覚が強いのです。よって、エグゼクティブ系は、栄養の偏りがあってメタボの元凶ともなりやすい炭水化物系を避け、野菜やタンパク質(肉・魚・大豆など)を選んで食べるのである。    5人兄弟で戦後間もない頃大きくなった僕は、まさにお腹を満たすことだけが食事の目的だった。やせの大食いだ。子供の頃の修正が今だ続いている。だから必ずご飯とうどん、ご飯とラーメン、ご飯とお好み焼き、ご飯とスパゲッティーだ。満腹にならなければ気持ちが落ち着かないから毎食腹十二分だ。腹八分など考えられない。あの中国で今起こっていることは、僕が子供の頃に経験したことではないか。豊かになって贅沢をしているのではなく、少し余裕が出て満腹になっているのだ。  5割の人が糖尿病予備軍。10数億の国民が僕と同じ腹十二分を目指すなら、ますます世界中に出かけ多くを奪い取らなければならなくなるだろう。陸続きのかの国の青年達がしばしば口にする不安がよく分かる。