耳垢

 アメリカの耳鼻咽喉科・頚椎部外科学会が今年の1月に「臨床診療ガイドライン耳垢塞栓」において「過度の耳掃除を行ってはいけない」と強く呼びかけた。そのガイドラインにはしてはいけないことが記載されている。それによると痛みや聴力低下、耳鳴りなどの症状がなく外耳道をふさいでいない限り、耳垢を残すべきだと明記されている。  さて、してはいけないこととは、過度に耳掃除を行うこと。綿棒、ヘアピン、爪楊枝などを耳に入れること。これらは耳を痛め、鼓膜などを損傷する危険性がある。イヤーキャンドルを使うこと。イヤーキャンドルは耳垢を除去する効果はなく、外耳道や鼓膜に重い損傷を引き起こすことがある。  僕も初耳だがこのイヤーキャンドルなるものは、耳の中に特別なろうそくを立て火をつけ、その熱の作用で体の中の毒素を出すというものらしくてアメリカ耳鼻咽喉科・頚椎部外科学会は効果を否定している。そもそも耳垢は「外耳道と鼓膜の保護、乾燥防止、細菌、真菌に対する感染防止、昆虫の進入防止」と言う役割を担っていて、その役割こそ重視しろと言うことだ。  さすがにイヤーキャンドルなるものはしないが、綿棒、爪楊枝などは常連組だ。ほとんど必需品に近い。さすがに若い時みたいにストレス解消で耳垢を取るようなことはないが、ついつい痒くなると簡単にそこらへんに転がっているものを耳かきの代用にしてしまう。こうして耳垢の効能を教えてもらうと、いたずらに清潔を競うことはないから、本来不精な僕には朗報だ。何もしないのは得意だ。これからは聞こえが悪くならない限り耳掃除をしなくてもいいということだ。  それにしてもアメリカも日本と同じように胡散臭い健康方がしばしば流行る。何が共通しているのだろう。2極分化した経済の不安か、健康の不安か、生き辛い人たちが増えているのだろう。貧乏人がよりによって超富豪を大統領に祭り上げる国だから、所詮知的レベルなどしれていて推して知るべしか。