酷使

 よりによってなんでこの時期にと思うが、多くの出来事はほとんどがよりによってなのだ。  薬局のエアコンが昨日ダウンした。電気屋さんに早速来て貰ったら、部品が盆の期間中は入らないから、直すことが出来るのは早くても19日だと言われた。その日にもし直っても1週間エアコンなしの営業になってしまう。早速昨日からエアコンなしで業務をこなしているが、苦肉の策のおかげか、思ったよりは不愉快ではない。勿論あの心地よいひんやりした冷気は提供できないが、少なくとも戸外よりは過ごしやすいくらいには出来ている。だから意外とやって来た人が暑いと口に出さないし、人によってはエアコンがついていると勘違いしていた。  裏の事務室のエアコンは新しいからそれなりによく冷える。そこで扇風機を2台使ってまるで空気のバケツリレーのように冷気を薬局まで送ることにした。見えないものだから上手く行っているのかどうか分からないが、少なくとも戸外よりは室温は低い。古い扇風機だから、その上11時間回しっぱなしだから火を噴くのではと心配になるくらいだ。 薬局のエアコンは天井に組み込まれたもので、業務用だからかなり高かった記憶がある。値段は三桁の大台に上ったような記憶がある。ただ、ただでは起きあがらない僕の性格で今回ある都合のよいことを学んだ。たかだか13坪の薬局を冷やすのに、200ボルト電源の業務用クーラーなんていらないってことを。少し広めの部屋を冷やす家庭用のエアコンで十分だって事を。小さなエアコンから吹き出る冷気をバケツリレーで運んだだけでそれなりの効果が出るのだから。 昨日エアコンがダウンしたという電話を3軒貰ったと、電気屋さんが言っていた。この田舎で3軒だから、確率は相当高い。暑さでエアコンを何処の家庭も酷使しているのだろう。よりによってにはほとんどの場合理由があるのだ。何の理由もなくよりにはよらない。