往復切符

 さすが体験者しか分からない。身近にこんな人がいて良かった。  長距離の運転には全然自信がないため、同乗者に免許を持っている?と尋ねることが多い。体力的に限界が近くなれば運転を代わって貰おうという魂胆だ。  連休中に一度僕にとっての「遠出」がある。岡山県を対角線に移動しようと言うのだが、結構北に行くのは疲れる。高速道路はまだいいが、渋滞にはまって県道を行くことになったりしたら、落ちたら死にそうな川沿いを走ったりして神経をすり減らすことになる。 今度一緒に行く人は1年以上法務局に出張していた人だから、免許証が有効かどうか不安だった。だから免許がまだあるの?と尋ねると、持っているという。そうは言われても、出張中に免許の期限が切れることだってある。だから更新したのと尋ねると、丁度娑婆にいたときに免許の更新時期に当たり、忘れずに更新しているらしい。でもここからの答えがさすがに僕ら素人を越えている。「入っていても更新できるよ、そうしないと出てから仕事に就けないじゃろう」と言う説明だった。なるほどそう言われればその通りだ。ある分野の仕事を得るためには車の免許は必需品だろうから。  無駄なことは何もないと言うが、娑婆と断絶して法務局の中に出張して覚えたことがこれでは割に合わない。やはり割に合うのはこちら側だから、心して二度とあちら側に行かないで欲しいが、自制と言うことがとんと苦手な人は往復切符をつい買ってしまう。