オークション

 あるオークションでの出来事。  10才くらいの少年が、自転車のオークションに参加していた。最初の1台が出てきた時少年は「200円」と大きな声をかけた。すると会場から「1000円」「1500円」「2500円」と声がかかり、結局2500円で落札された。2台目が出てきた時少年は又大きな声で「200円」と叫んだ。しかし、会場から声がかかり2000円で落札された。3台目も4台目も少年は「200円」と大きな声を上げた。しかし回りの大人の値段には勝てない。少年の傍にいたある男性が少年に諭した。「分かるだろう。2000円くらいは持っていないと手に入らないんだよ」と。すると少年は「お父さんが失業して仕事がない上に、お母さんは病気なんです。今日は妹の誕生日だから、妹に自転車を買ってやろうと貯金箱の中のお金を全部持ってきたんです」その次に子供用の自転車が現れると少年は「200円」と又大きな声で叫んだ。その後誰も声を上げなかった。  大きなことをする能力はなくても、このくらいなら出来る。ごく普通の人の普通の善意が好きだ。