加算

 このお金はもらえない。もらわないと法律違反か省令違反かになると言うから、誰が何を守っているのか理解できない。患者さんにとっては全くのぼったくりでしかないと思うのだが。こんな悪しき決まりは薬局で行われているように、恐らく医療現場以外でも息をひそめながら行われているのだろう。どのくらいのお金が直接患者さんから、又税金から補填されているのか分からないが、出来ればそのお金は医療全体を守るために、激務の病院勤務の若き医者達に回して欲しい。 皆さんは知っているだろうか。平日なら午後7時。土曜日なら午後1時を過ぎて処方箋を薬局に持っていき調剤してもらうと、なんと手数料が400円余分にかかるってことを。6時58分に薬局に入って行った時より、7時3分に入って行った患者さんは、400円余計に加算される。もっとも患者さんは3割負担だと120円余分に払うってことだが。薬局の立場から言えば、なんとも美味しい「おこぼれ」だが、そもそもこの規則はいわゆる門前薬局が医院の営業に合わせて閉店してしまうことを防ぐ苦肉の措置らしい。せめて常識的な時間は営業させようと言うのだが、そもそも門前薬局そのものが、医療の独立性を担保する観点からはクエッションマークだと思うのだが、その灰色部分を認めてきたから、尻ぬぐいに又不可解な餌をくれたようなものだ。薬局にはおこぼれでも患者さんには不本意な出費だ。  父の代には朝の7時から夜の9時まで薬局を開けていた。僕はそこまでは無理だったので、朝の8時から夜の8時までにした。これでも両親には少し後ろめたかった。娘の代になってどのくらい働くのか分からないが、地域と共に暮らしている人間にとっては、何時に来てもみんな同じなのだ。夜中に起こされて薬を渡すことだってある。その時に代金が加算されるような考えはなじまない。ドライに考えればいいことなのかもしれないが、一人一人の顔が浮かぶ地域では、今土曜の午後3時だから余分を頂くねとは言えない。  大きな声が出る人に恩恵が集中してはいけない。声なき声を聞き取れる良い耳を、良い耳を。