逃げ道

Jへの手紙 僕は、子供の前に絶対に立ちはだからないと言うことを守って育てました。一度もNOと言ったことがありません。かならず援助する立場にたちました。或いは勇気を出して見守る立場に立ちました。経験が彼らより多いですから口を挟むことは簡単です。でも、僕が自由に育てられたと同じように、自由に育てたいと思っていました。それと期待しすぎないことです。数々の失敗体験だけを語りました。.逃げ道はさりげなくいくつも用意してあげていました。人よりえらくなり、人より経済的に豊になれとは言いませんでした。人の役に立つことこそが大切だと、色々な媒体を通じて悟ってもらえるようにしました。子供のときはとにかくよく遊び、小学校ではスポーツ少年団で燃える、中学校では部活動で燃える。できるだけ田舎で育てたかったので、中学校までは牛窓で育てました。田舎の人は人間がとてもいいですから、人を信じることが出来ます。社会は信じることでなりたっていることを身をもって感じて欲しかったのです。勉強は先生を信じて、塾には行かせませんでした。試験の点数をお金で買うこともしたくなかったし、成績はその人の単なる一部でしかありませんから。子供時代にしか出来ないことを子供の時にする、ごく自然な発想です。貴女は今、現役のお母さんですね。毎日が大変でしょうが、可能性を秘めたお子さんたちと一緒に過ごせます。僕は子育てから解放されて生活の張りが全くなくなりました。山は上っているうちが華です。高きを目指せばしんどいに決まっています。登っているからしんどいのです。僕の年令になると、下り坂ですから毎日が楽です。行きつくところはとても低きところです。もうそれは目的ではなく必然なのです。