合格

 今日、ある青年が大学に合格したことを報告してくれた。彼にとっては第2志望らしい。第3志望はすでに合格していたから、逆転2塁打を放ったような感じだろうか。  多くの若者が、過敏性腸症候群という、不条理なトラブルで青春を失っている。そのままずっと失い続けている年配の方もいる。学校を失い、職場を失い、地域を失い、人間関係を失い、信頼を失い、愛を失い、そして自分を失っている。  日常、ありとあらゆる場所で重圧はかけられる。学歴に始まり、収入、家族、共同体。評価は目に見えるものだけでしか行われない。家に鍵をかけ、部屋に鍵をかけ、心に鍵をかける。得るために失うものも、失う為に得るものも、混沌の秩序の中で空回りする。  恐らくこれ以上の感慨は人生に幾度もあるものではない「合格」という結果を手にした青年の声に瞬時の喜びを得た。職業的に報われる瞬間だ。これからは是非失ったもの以上を手にして欲しい。