自発的な浪人生が希望校に合格したとお母さんから連絡を頂いた。これで今年少しでも縁があった若者達の受験がすべて成功裡のうちに終わった。浪人生から現役、日本語検定試験から高校受験までとても多彩な年だった。ハンディーを抱えての、或いは克服しての挑戦だから応援したくなるのも当たり前で、合格の知らせの度に感動をもらった。日々緊張感のない生活をしているので、ハラハラドキドキの臨場感も満喫させてもらった。  現在の受験制度がすべて肯定されるものかどうか分からないが、青年が鍛えられる一つのきっかけであることには違いない。特殊な才能に恵まれた一部のスポーツ選手や芸術家志望の若者以外はなかなか人生をかけるほどの努力や緊張を強いられる機会は少ない。受験は普通の青年にとって単純に頑張る理由になりうるものだ。進学を希望する青年が平等に同じ土俵で戦えるようになればいいのだが、実際には用意された環境には大きな差がある。それを乗り越える猛者もいるが、なかなか立ちはだかる壁は精神力だけでは越えられないものも多い。  残念ながら春を運ぶ風が届かなかった青年も沢山いる。季節が再び一巡する頃、今度こそ春を見つけて欲しい。春は小川のせせらぎに、里山の小枝に隠れて君が見つけてくれるのを待っている。ほんのもう少しの希望、もう少しの努力、もう少しの信頼、もう少しの忍耐で見つかる。鳥は墜ちながら飛ぶ。青春とはそういうものだ。