氷点下の涙

 冬の花火は背中に上がり 凍りついた息が闇を刺す  氷点下の涙は 漂流する魂を 岸壁に繋ぎ  色彩を拒む夜の海を さ迷い続ける  一生懸命生きてきた 一生懸命生きてきた

 蔑まれて嘔吐し 傷め付けられて喀血し  震える足でたちあがり またたちあがり  星を手に取り 消え行く拍動の証しとする  一生懸命生きてきた 一生懸命生きてきた

 逃避行の波打ち際に 寸断された嗚咽が漏れる  背信の微笑みに 血塗られた懺悔  はいつくばって岩を噛み 打ちひしがれて潮を飲む  一生懸命生きてきた 一生懸命生きてきた