四角い部屋

 もう40年もすれば、この国の人口は9000万人を割り、その中で高齢者は40%を占めるそうだ。なんて住みよい時代が来るのだろう。家は余り、土地も余るから、安く住めるようになる。消費も減るから、廃棄物も減り、地球が一休みできる。半分近くが老人だから、働き手がいない。働き手がいないから生産性が落ちる。生産性が落ちれば会社も社員も貧しくなるから倹約をする。倹約をするからまた廃棄物が減り地球が一休みする。金持ちで偉そうな今の老人はその頃全員死んでいるから、若者を戦争に行かすような事は出来ない。派遣だフリーターなどと、若者が正当に報われるシステムを破壊してしまった老人は全員死んでいるから、若者達が正当な労働条件で正当な報酬をうることが出来る様になり、生産より環境を重視するから地球は一休みする。  現代人は、果てのない物欲を煽られ、人生のほとんどの活力を、それらを追い求める為に使ってしまう。身の回りを見ると、なくてもよいものばかりだ。何もない部屋に住みたい。四角い部屋で透明な時間が流れるように。こんな時代を作ってしまった者たちに汚されないように。