抗不安薬

 製薬会社グラクソ・スミスクラインの調査によると、不安な気持ちを和らげる効果がある「抗不安薬」を服用している人のうち、継続服用期間が10年以上に及ぶ人が11%、5~9年も22%に及ぶことが分かった。この薬は止めにくくなる「依存性」が指摘されているが、日本では、アメリカやヨーロッパの10倍前後も処方されていて、専門家は安易な使用に警鐘を鳴らしている。この種の薬の安全な使用の目安は3ヶ月以内と言われているが、その中に入った人はわずか14%だけだった。平均服用期間は4.2年だった。この薬を長期に服用している人の3割はウツを併発していたが、抗ウツ薬は3割の人は服用していなかった。東邦大学心療内科の教授は「抗不安薬は不眠の改善などを目標に使用されていると思うけれど、ウツ本来の症状が隠れたり、止めにくくなったりするので漫然と使用すべきでない」と話している。  一般の薬局に処方箋が回ってくるようになってから、10年くらいだろうか。それまでは、精神的なトラブルを抱えている人達がどの程度いて、どのような薬を飲み、どのように回復していったのか知らなかった。今は処方箋を持ってこられる人がいるから、生きた情報は入る。色々な薬がその間にも開発され、多くの人が恩恵を受けた(?)のかもしれない。しかし、多くの方がその恩恵から程遠いところでもがいているのも知った。精神的なトラブルが、その発症の状況を克服、修繕を経なくて回復するのかはなはだ心もとない。果たして睡眠薬の延長のような薬だけで治っていくのだろうかと、不安になる。処方箋にしたがって薬を渡す時に、関与出来ることはあまりにも少ない。気の毒だなあと思いながら、何かの幸運で完治しないかなあと、まるで非科学的なことを考えたりする。抗不安薬を医師の指示にしたがって出している薬剤師こそ抗不安薬が欲しくなる。抗不安薬を長い間処方する医師のようには頑強な心を持ち合わせていないので。