追っかけ

 ゴールデンウィークの影響か、薬局の前を通る車の数は多いが、バブルの頃のように喧騒が薬局の中にまで乱入してくることはない。どうしても今日しか来れない人の為に薬局を開けてのんびりと、世間の時の流れと隔絶している。  今月末、あるグループに頼まれて漢方の講演をする。喋れと言われれば今すぐにでもいくらでも喋れるが、折角の機会だから勉強しなおして、魅力的な内容にしてみようと思っている。相手が素人の方ばかりだから、漢方薬の作り方あたりを喋ってみたいが、さて資料を机の上に並べてみると、この作業は自分自身の為に、より貢献してくれそうな気がする。過去何回か講演したことがあるが、用意していった原稿に沿って話せたことは一度もない。僕の講演はいつでも質問OKだから、質問に答えるだけで2時間くらいすぐたってしまう。今回は、きちっとしたストーリーでやってみたいと思っている。  この講演を快諾したのは、僕に依頼に来られた方に喜んでいただきたいためだった。勿論今現在は当日聴きに来て下さる方を満足させたいが、最初は代表の方を心地よく帰っていただきたかったからなのだ。僕が今教えを乞うている若い神父様が、1週間に1回でも小さくてよいから善を行いなさいとよく言われる。以前にも書いたが、とても太刀打ちできないくらい善なる人で、僕は1週間分ずつ、心の栄養をいただきに行っている。息子より少しだけ年が上なのだが、この年令差を逆転して僕がひたすら尊敬するのだから、余程の方だと思う。身長180cm以上、ルックスはヨン様以上、最近は未信者の方がそれ目当てでこられるが、それもまたよしかと思っている。神父様は「盗みにでも教会に入ってきて下さればいい、それは神が招いたものだから」と言われた。追っかけくらいは許して下さるだろう。こういう僕が全くの未信者で追っかけなのだから。