「最も入手しやすい抗うつ剤は、深刻なうつ病を患う子どもや10代の若者に対して効果がなく、一部は安全でない恐れもあるとする研究論文が9日、発表された。英医学誌ランセット(Lancet)に掲載された論文によると、有効成分を含有しない偽薬と比較した際、より高い抗うつ作用がみられたのはフルオキセチンのみだったという。一方、ベンラファキシンは、偽薬や5種類の他の抗うつ剤と比べて、自殺願望や自殺衝動のリスク増加と関連性があると指摘した。さらに、これらの薬剤が若者に及ぼす影響について適切に計画された臨床試験が十分に行われていないと警告。国際研究チームは、若者が抗うつ剤を服用する場合、特に治療を開始したばかりの時期には、薬の種類を問わず若者から目を離さないよう勧告した。論文によると、抗うつ剤を服用している子どもや10代の若者の割合は、2005年から2012年の間に、米国では1.3%から1.6%に、英国では0.7%から1.1%に上昇したという。」

 若者に抗うつ薬を飲ませたときの弊害は随分前から言われていた。自殺願望が高まると言うものだったと記憶しているが、実際にはそれどころではないだろう。そんな経験をこの2週間のうちにした。  僕のところに2ヶ月前に抗ウツ薬と安定剤2種類の処方箋を初めて持ってきた子は、もう3年くらいその種の薬を飲んでいる。就職して早朝出勤は3時くらいの日もあるらしいが、1年前に人身事故を起こした。居眠り運転だ。それなのに今だ3種類も精神病薬を飲んでいる。処方する医師も医師だが、そのままなんら注意することなく調剤する薬剤師も薬剤師だ。僕はその子にこの薬を飲んでいたら何かいいことがあるのと尋ねた。するとその子は、分からないと答えた。分からないって、それでは何ためにこんな薬を飲んでいるのと尋ねると、字を人前で書くときに手が震えるのを防ぎたいかららしい。どのくらい人前で字をかく機会があるのか分からないが、そのために毎日毎日3年間も抗ウツ薬などを飲んでいたのか。しかしその努力も空しく今だ人前で字を書くと震えるらしい。要は全く効いていない薬を飲み続けて、人身事故を起こしてしまったのだ。これでは自殺どころか他殺になってしまう。  僕はその子に、漢方薬を飲んでみないか提案した。明らかに医師との紳士協定に反するが、会ったこともないその医師に任せてはいけないと思った。その子が漢方薬にしてくださいと言うので、息子を紹介した。  以前飲んでいた薬をすぐに止めることはできないから、漢方薬と併用して2週間、今まで運転して眠たかったのが全然眠くなくなったと喜んでいた。なんてことだ、事故後も眠気と戦いながら通勤していたのだ。その言葉を聞いてぞっとしたが、良かったと思った。製薬会社の思惑通り、ちょっとした不調を頭の病気にされたらかなわない。悲しい時、辛い時に、食べられない、眠れない、ウンチが出ないなど当たり前だ。それを、脳を守る関所を破って入りこむ化学薬品で治そうとするほうが不自然だ。  手前味噌ではない。企業とはそんなものなのだ。車の不正でも分かるように、超有名企業でも所詮「銭が全て」の汚い世界なのだ。