素人

 今日読んだものの中に日ごろ僕が感じているようなことを書いている医師の文章を見つけた。教育に携わっていると書いていたから大学の教授かもしれない。

・・・・・・・・・・・現在のように次々に同種同効薬が出ると心配は尽きない。第一に、うつ状態が改善しにくい患者さんに「新しい抗うつ薬が出た。これは効くかもしれない」と告げて、薬剤を変更や追加する医師が少なくない。多剤処方や大量処方につながりやすいだけでなく、患者さんに過度の期待を抱かせることにもなりやすい。
・・・・・・・・・・・この背景として、1つ気になるのは、最初の「うつ病」という診断である。環境への適応力の弱い方が現在置かれている環境のストレスでうつ状態になった場合や性格的な脆弱性が問題になるうつ状態は、かつて抑うつ神経症という、あいまいであるが、詳細に問診しないと診断確定できない病名が用いられていた。抑うつ神経症は適切な環境調整や精神療法が不可欠であり、抗うつ薬の効果は乏しいとされていた。現在のうつ病は原因としての性格や環境を重視せず、うつ状態の重症度や持続期間のみで診断する傾向があり、その診断で抗うつ薬がどの程度有効かを予測できないことが多い。すなわち診断が適切であれば抗うつ薬が効きにくいと最初に分かるうつ状態や、環境や性格への働きかけが重要なうつ状態にまで抗うつ薬が処方され、改善しないと次々に抗うつ薬を変えるという事態が起こっている。次々に出る同種同効薬は不適切な診断と治療をマスクする道具になっているかもしれないとも思う。
 こんな状況下で、新しい薬剤が根拠も乏しいままに「認知機能に影響しにくい」「女性に用いやすい」「意欲低下に効果がある」などという怪しい宣伝文句とともに売られ、それに科学性があるかのように語る製薬会社の味方のような医師がいる。

 僕は素人だが、偶然漢方を勉強してきたから、問診のとき原因を探る作業は欠かせないものになっている。所詮漢方薬は自然の植物由来だから切れ味鋭くというのを得意とはしていない。その代わり自然の植物が心身を養っているのと同じで、漢方薬はゆがんだ自然治癒力を回復する力を持っている。そのおかげで心療内科で改善しなかった方の多くが漢方薬で復調していただいている。難しい理論は分からなくても、自然の持っている力を利用すれば体のほうも自然を取り戻してくれる。犬や猫を始め動物達が病気になれば草を食べ太陽にあたり体温を上げ、自然治癒を待つのに似ている。人間は経験を積み重ね、それらを薬にまで昇華したが、基本は同じだ。現代医学の力は、素晴らしいものがあるが、過信してはいけない。製薬会社の営利のために人間の身体が最終廃棄物処理場になっていることもある。企業が全て善意で成り立っているなどと考えられない理由はどの業界でもある。領収書や明細書を再発行しない汚部の仲間のホテルニューオータニを見れば分かることだ。あのニュースを見て絶対に泊まってやらないと思ったが、間違っていた。絶対に泊まれないくらい高かった。