瀬戸際

睡眠薬抗不安薬、抗てんかん薬として処方される「ベンゾジアゼピン系」という薬などについて、規定量でも薬物依存に陥る恐れがあるので長期使用を避けることなどを明記するよう、厚生労働省は21日、日本製薬団体連合会などに対し、使用上の注意の改訂を指示し、医療関係者らに注意を呼びかけた。対象はエチゾラムアルプラゾラムなど44種類の薬。BZ系薬は短期の使用では高い効果を得られるが、薬をやめられない依存性や、やめたときに不安、不眠などの離脱症状が生じることがあるとされる。日本では広く使われているが、欧米では処方が控えられ、長期的な使用も制限されている。厚労省は、「承認用量の範囲内でも、薬物依存が生じる。漫然とした継続投与による長期使用を避けること」「投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと」などと使用上の注意に明記することを求めている。

分業が始まっていない頃、薬局では上記のような薬を見ることがほとんどなかったから、その種の薬を飲む人の気が知れなかった。たまに患者さんがそんな薬を持ってくると、出来れば飲まないほうがいいよみたいなことを言っていた。その後、世の中が分業になってから、そんな薬をいかに多くの人が飲んでいるか知った。実際に処方箋をもってくる人の中で、その種の薬が含まれていないほうが少ないみたいだった。心療内科だけでなく、多くの科で投与されていることを知った。もうそうなると、利害が一致するから飲まないほうがいいなどとは口が裂けても言えなくなった。実は最初つい言っていたのだが、病院にばれてえらい怒られたのでその後は無難に振舞っている。ただ僕の考えとは全く違うので、その種の処方箋を持ってきた人に、俄然頑張る気にはなれない。  医師会や製薬企業のために存在しているかのような役所もさすがに最近はその種の影響を言い始めた。欧米では既に警鐘を鳴らされているのに、国民より企業や医師会が大切なこの国は無視していた。でもさすがに放置できなくなったのか、遅まきながら上記のような注意喚起が行われるようになった。「誰でもよかった」的な殺人や交通事故の背景にその種の薬の影響があるという説もある。無駄なものは脳みそに入れてはいけない。脳は血液の関所を持っていて不自然なものを関所でブロックするのだが、そこをすり抜ける物質こそが安定剤や睡眠薬だ。だから効果とともに不自然な副作用が起こるのだ。  何かおかしい、単なる直感でしかないが、そういった皮膚感覚のほうが正しいことは一杯ある。ただ根拠を示すことが出来ないから常に劣勢ではあるが、庶民が身を守るにはそれしかない。40年も前に未熟な薬剤師が感じていたことを、最近やっと国が方向転換し始めた。最高の英知の集団よりも、1人の愚民の直感のほうが当たることがあるのは利害が介在していないからだ。こと薬だけでなくあらゆる業界にはびこっている利権と程遠い人たちをもっと大切にしないと社会が壊れる。もうその瀬戸際に立っているのではないか。