70分の電話

 昨夜、関西に住むある女性と70分電話をした。過敏性腸症候群のガス漏れで数年間苦しんでいる若い女性だ。この春、同じ悩みを抱えている人達が何人か新しい環境へ飛び出すのを手伝えてから、なるべく患者さんと肉声で接触するようにしている。ガス型の人は特に、症状が出る状況を客観的に医学的に捉えなおす必要があることを痛感している。漢方薬だけでは治癒率が上がらないことをいやと言うほど経験したから。僕は過敏性腸症候群の方の体調を、4項目改善することを漢方薬に期待している。それを達しないといくら会話を重ねても治らないことも知っているから。過敏性腸症候群の方を沢山お世話させていただいて、共通して持っているハンディーに気がついた。4つの公式とでも言えるのかもしれない。 電話の中で僕は彼女が今まで苦しめられた言動を1つずつ紐解いた。ある事象を反対から見れば、全く違うものに見えることは誰でも経験している。主観ならまだいいが、思いこみの一人芝居に苦しんでいる。青春前期の自意識過剰の為せる技なのだ。自意識が芽生えるのは成長にとってとても大切なこと。それがあるから人は向上する。しかし、それが度を過ぎてしまうと、臆病になってしまう。  僕は彼女の志を聞いて、なんとしてもかなえさせたいと思った。昨夜の電話で果たしていくつのトラウマを解消できたか分からない。しかし、1つずつ重石を取り除いていくことで、彼女の歩みは必ず軽くなる。いつか彼女が完治して、志を実現させ多くの人を助ける。僕自身は、あまり世の役には立てなかったけれど、若い人が復活して世の中の役に立てれるようになってくれれば、存在の意味は少しでもあったか・・・と慰めている毎日だ。