学会

 偶然かもしれないが、今日3人の報告の中に同じような症状があった。吐き気がし、腹痛がして下痢が続くと言うものだ。それに付随してガスが多くなったと書いている人もあった。でも恐らく3人ともロタウイルスノロウイルスか分からないが、いわゆる胃腸風邪をひいたのだ。関東、近畿、中国地方の3人だから、その地域でどのくらい感染が広がっているのか分からないが、今年も又かなり流行ると予想されていて、僕の薬局にもぼつぼつ漢方薬を取りに来だした。  ことウイルス性の胃腸風邪に関しては漢方薬の方が現代薬より圧倒的によく効く。タイミングよく飲めればムカムカの時点で治ってしまう。そこから先の腹痛や下痢を経験しなくて治ってしまう。先人の知恵は大したものだと感心する。手元にあればいつでも飲めるから、3日分くらい備えておいてもいいだろう。冷凍庫に保管しておけばいつまでも持つからあの悪夢を経験したくない人にはお勧め。  珍しくブログで商売的なことを書いてしまったが、それが目的ではない。過敏性腸症候群の方が何が起こっても自分の弱点にくっつけて判断し悲嘆にくれるのを防いでもらいたいためだ。雨が降っても風が吹いてもお腹のせいと考えて欲しくないのだ。雨も風も低気圧のせいなのだから。  嬉しい報告もあった。大学院で研究している方が学会で3時間も持ったという喜びの報告だ。1年間お世話しているが、勿論1年前だったらあり得ない快挙だ。それもいつも必ず陣取る一番後ろの席ではなく、中程の席で後ろに人も当然腰掛けている。本来なら最悪の状況で講演に集中できたのだから凄い。いつもなら上の空状態だったのだから、ゴールが一気に近くなった。過敏性腸症候群は現場でしか治らないと言う僕の主張も分かってくれたと思う。  この様に過敏性腸症候群でお世話させて貰っている中で時に優秀な人がいる。僕の薬局は、ごくありふれた薬剤師がごくありふれた人をごくありふれた漢方薬材料を使って、ごくありふれた値段で、ごくありふれた会話の中で治していくのだが、彼女はこの2番目だけはずれている。ただ彼女は2週間に一度電話で状況報告をしてくれるのだが、穏やかでとても学問をしている人のようには思えない。時に知性が邪魔してあり地獄から抜け出せない人がいるが、彼女は寧ろ素朴そのものの印象が強い。大都市で暮らしながらこんな田舎の薬剤師を信用してくれる勇気に感謝。1ヶ月後は逆に彼女が学会で発表するそうだが、それも見事クリアして欲しい。こうして若い人が自分の可能性を広げることをお手伝いできるのは本当に喜びだ。もうほとんど終わっている僕が、これからの人に希望を託す、このところの僕を支えているのはそんなたわいもない喜びなのだ。