たまには場違いなところに出向くのもいい。無駄なことは何もないと言う言葉を思い出す。
視覚的に楽しむ芸術にはめっぽう弱い。音ならまだ少しは分かるが、絵とか習字とか写真とで感動したことはほとんどない。もっとも積極的に鑑賞しようとしたことすらないのだから当たり前と言えば当たり前。大原美術館に何度も行ったが、目的はベトナム人に世界的な名画を見せてあげるためで、僕がその前で無心に鑑賞するためではない。
漢方薬を飲んでいるある女性の甥が牛窓で個展を開くから見に来てと誘われていた。チラシを見せていただいたが、何ら興味はわかなかった。その方に頼まれたからというどうしようもない理由で一応見に行ってみた。
まず驚いたのは「当然閑散としている」と思っていたのに、結構人がいた。我が家の近所にある瀬戸内市立美術館の狭い会場に、どうだろう20人くらいがいたと思う。和太鼓おたくの僕のように、絵や文字の芸術に心を揺さぶられる人がこんなにいるのだと、人それぞれなんだと、今更確認した。
そしてもう一つは、文字は難解なのだが、その文字に添えられている文章が、乾いた現代人の心に水を差すような言葉で溢れていた。病気のせいで多くを失っているはずなのに、どうしてここまで優しいのとただただ敗北感に包まれた。
その文字や言葉を共有したいので、彼の名前を書いておく。恐らく有名だからインターネット上で簡単に探すことが出来るのではないか。ぜひ彼の作品や言葉に触れてみて欲しい。
浦上秀樹 こころMOji artist