三途の川

 1月にコロナに感染し、鼻と咳の後遺症に悩まされている方。いわゆる後鼻漏で、それも次第に改善している。
 一番ひどい時は、何も考えられなくて、何もする気が起きなくて、このまま終わるのだろうかとそればかり考えていたらしい。そこで僕が「危なかったなあ」と言うと、ある経験を話し出した。僕は冗談で「川を渡っていたら、終わっていたよ」と言ったのだが。
 70歳手前のその女性は、ある夜夢を見たらしい。年末に立て続けに、従弟とそのお姉さんが亡くなったらしいが、伏線はそこにあったのかもしれない。
 水は澄通って、川岸には花が咲き、とてもきれいな小川にいた。すると川向うに従弟が現れ、呼んでいる。ただ少しすると急に幼い可愛い女の子が現れ、従弟が「この子の方が可愛いから、もう帰って!」と促したらしい。
 そこで女性は帰ろうとしたのだが、帰路は延々と続く白い石段で、上っても上ってもまだ先に階段が見える。すれ違う人もいるのだが皆無口らしい。懸命に上がっているうちに息が切れて目が覚めたらしい。
 融通が利かないところが欠点の女性だから、僕みたいに冗談を言うタイプではない。まして想像力豊かに作り話をする人でもない。このような三途の川の体験は、今までの薬局人生で数人から聞いた。僕は、その話を疑ってはいない。事実だろう。あの時ふと呼びかけに応じて川を渡っていたら・・・「よかったなあ、渡らずに」と本気で言った。

毒舌 お笑い「維新」研究 第5弾(西谷文和さん)【佐高信の隠し味】20240227 - YouTube