面前

 もう今の住所に引っ越してきて以来だから40年近く生協の宅配を利用している。毎週木曜日に来てくれるのだが、今日、数人で出迎えた時ある主婦の言葉に驚いた。
 と言うのは、僕が生協の人に「牛肉で、柔らかいのを買いたい時にはどれに印をつけたらいい?」と質問したのに対して、若いスタッフが迷って返事がなかなか帰ってこなかった時「コストコで買えば安くてやわらかい肉があるよ」と教えてくれたのだ。
 このコストコと言う言葉はつい最近テレビで見て覚えたばかりなのだが、岡山県にはないみたいだ。そこで「岡山県にはないじゃろう?」と言うと「神戸にある」と言う。「神戸にある」と「神戸に行く」とではかなり意味が違うから、まさかと思いながら「神戸のコストコまで買い物に行くの?」と尋ねると「そう」と簡単に答えた。
 僕にとって神戸は「そう」の距離ではない。まず邑久駅まで車で行き、そこから赤穂線岡山駅まで行き、新幹線に乗り換えていくとことだ。買い物に行く距離ではない。運賃だけで買いたいものがすべて手に入りそうなちょっとした旅だ。それなのに「食べものをわざわざ買いに行く?」  
 答えは、コストコは遊園地みたいに楽しい、道中も楽しいの二つだった。確かに、酪農を嘗てやっていた人だから夫婦そろって休みなどなかっただろう。いや夫婦そろってと言うより、夫婦とも休みなんかなかったのではないか。だから今、時間もお金も使えることが、その多少はあっても、心の贅沢なのではないか。お金を使う価値も時間を使う価値も大いにあるということだろう。
 理解不能の僕だったが、その答えを聞いてなぜか嬉しかった。一所懸命働いてきている姿を数十年見ていたから。ただし、ただし、若い生協のスタッフの面前で言ってはおえんじゃろう!

ふざけるな!岸田首相と二階俊博元幹事長の上級国民ぶり。裏金はさておき、しっかり納税のお願い・・・お願い?何言ってるの?安冨歩元東京大学教授。一月万冊 - YouTube