事故

本当にそんなことがあるのだろうか。製薬会社の真面目なセールスだから嘘をつくはずもないし、面白おかしく脚色して話す人でもない。
 事の発端は、彼が乗ってきた車が軽四だったからだ。会社の経費削減で普通車から軽四に、それもレンタカーになると聞いていたが、駐車場に止めてある可愛い車を見て、遂に変わったんだなと話しかけたことで、驚くべきニュースを知った。
 数日前に関西の高速道路で起こった事故が、彼を恐怖に陥れている。と言うのは、高速道路を走っていた二人乗りの軽四自動車が、渋滞でタンクローリーの後に止まった。そこへ大型トラックがノーブレーキで突っ込んだらしい。そしてその結果が、彼が両手を広げて見せてくれた幅の鉄の塊になってしまったというのだ。恐らく数十cmと彼は言ったと思うが、僕にはにわかには信じられないくらいの幅だった。
 テレビで見たことがある、車を押しつぶして鉄の塊にするプレス機そのままのことが道路上で起こったらしい。前も大型後ろも大型、それが高速道路だからすごいスピードで突っ込んでくるとなるとプレス機になっても当然なのかもしれない。
 思わず「人間はどうなったの?」と尋ねたら、ここでは書けないような表現を彼は用いた。なんでも運転手が落とし物を拾っていたらしいが、ひょっとしたら1秒くらい前方から目を離していたのだろうか。もしそうならかなりの過失だろう。前方から目をそらすことが出来るのは、瞬き位な時間だと思う。できれば一生人を傷つけたくないとそればかり考えながら運転しているほとんどの方をより臆病にするような事故だ。
 あまりにも悲惨なニュースで「見ませんでした?」と尋ねられたが、彼の言うように関西での事故だからこの辺りでは放映されなかったのだろうか。映像を見たら免許を返納しようかと思うくらいの事故だったのだろう。
 岡山駅あたりに用事がある時には軽四は本当に便利だ。加害者にも被害者にもなりたくないから迷うが、最終的には祈るしかないのが交通事故だ。

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