往復

 「ちょっと送って来る」距離ではないと思うが、「ちょっと送って来る」のだから、それを阻む権利はない。ただ「気を付けて」と手を振ることしかできない。
 さしずめ僕がその言葉を使えるのはせいぜい岡山駅くらいだ。岡山駅は僕の家から運が良ければ50分で行ける。バイパスが出来てからずいぶん近くなった。バイパスを下りてから10数分市街地を走ればいいので、運転にさほど自信がない僕でも辿りつける。岡山県で一番の繁華街でも、高校、流人時代の4年間暮らしていたから、結構道は分かる。
 ところが息子は関空までを往復するのに、「ちょっと」と言う言葉を使う。どのくらいかかるのかと尋ねたら2時間半くらいらしい。何の比較か分からないが「奈良に行くより楽」だそうで、僕にはその意味が分からない。
 僕にとって関空は未知なる地だが、奈良は何度か行ったことがある。岡山駅に車を置き、新幹線で新大阪に行き、そこからJRを利用して奈良まで行った。その距離を車で行くのは僕にとっては驚異だ。恐らく高速道路で繋がっていて、簡単に行けるのだろうが、兵庫県を西から東に横断して、結局3県を移動するのは僕にとっては実力外だ。
 夕方借りていた車を返しに行くと既に息子の車があった。新幹線の車窓から眺められるような景色を楽しみもせず、ずっと前方を見ながらハンドルを握っていたのか。単なる倹約か、運転が好きなのか分からないが、送られる側に「送ってもらう」感覚があるのだろうかと疑問がわく。僕にとってあの距離は「送る」距離ではなく「訪ねる」距離だから。

2024年カタストロフ。政治と芸能の崩壊。自民党政治家逮捕、松本人志の女性への疑惑の共通点。今までは大丈夫だった事がNGに!そして、、、最後の変化は。安冨歩元東京大学教授。一月万冊 - YouTube