無念

僕は、あなたのメールを見たり、漢方薬を作って送る時にはいつも、お父様のことを思い浮かべています。

お会いしたことのない方を思い浮かべると言うのは奇妙ですが、あなたがくれた数少ない情報で勝手に作った人物像が頭の中に出てくるのです。

ほぼ僕と同じ世代の方で、同じように漢方薬を標榜した方が、若くして亡くなったと言うのが衝撃だったのです。

その無念が、想像できたからです。

始めのころのメール交換で書いたように、ひょっとしたらどこかの勉強会の会場でお会いしている可能性さえあります。

架空の縁を感じて、貴女にお役に立たなければと奮い立たされます。

お父様が僕の頭をしばしばよぎるのは、同じように無念さを想像できる方が二人おられるからです。

僕を漢方の世界に導いてくださった同業の先生。そして30年間僕のほとんどの漢方知識を授けてくださった先生です。

前者は、集大成の時期にまだ少し早い年齢で亡くなり、活躍の場が一気に広がる世界を見ずに亡くなりました。

後者は、どれだけ多くの方を、存命時間に比例して助けられただろうと言うくらいのお力を持った方です。

僕はまだ経験していませんが、しかしかならずその時が来るのですが、人のお役に立てれなくなる日がやがて来ます。

その瞬間を病によって引導を渡されるのではなく、やりぬいた達成感で迎えられればと思わずにはおられません。

お父様が存命なら達しておられただろうレベルに劣らないように勉強します。

来年が貴女にとって、より良い歳でありますように。

ヤマト薬局

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