禁じられた遊び

 その若い女性が帰ってから、恥ずかしながらインターネットで検索してみたら、確かにあった。何となく想像していた意味だったが、正式な意味などが分かり、昔からある言葉ではない様なので安心した。語彙に不安を持つところだった。
 昼過ぎに雨が降り出した。雨が降るとお百姓さんがやってきやすくなる。畑仕事が出来ないこともあるが、水やりをしなくて済むと言う大きな利点もある。くつろいだ表情が束の間の解放を喜んでいる。だから牛窓みたいに農家が多い町では「また雨じゃなあ」などと嘆くことは禁じられた遊びだ。
 僕も雨を喜び、若い農家の嫁も喜びで、これで明日の草抜きが楽だわと話が盛り上がった。僕も草抜きを日課としているから、農家の方と結構具体的な話が出来るようになった。雨で土が水を含むと、草が根を残さずに簡単に抜けるから、結構快感なのだ。例えば自分の周りをきれいに抜いてしまってふと見たら、少しばかり向こうにまだ手つかずの所があると、ついそこまで移動してやってしまうのだ。彼女曰く、3時間位、ついついぶっ続けでやってしまうらしい。若くても腰や膝が痛くなるらしいが、そんなこと忘れるくらい雨上がりの草抜きは快感だそうだ。まったく同感で、彼女が言っていることのすべてに同感だ。そんな会話の後に締めくくるように「沼にハマりますよね!」と言った。初耳のような気がするが、ハマると言う使い慣れた言葉から想像して「やめれない」と判断して、それに沿った返事を返した。
 その後調べた結果、僕が想像していた意味に間違いはなかったが、どうもオタク言葉のようでSNSなどで使われる言葉のようだった。わざわざ沼にハマらなくても、「ハマる」だけで分かりそうなものだが、池でもなく、海でもなく、川でもなく溝でもないところが上手い。さすがオタク。和太鼓オタクの僕も鼻が高い。

自分で何を言っているかわかっていない岸田さん【金子勝】2023年10月20日(金)大竹まこと 室井佑月 金子勝 鈴木純子 - YouTube