抜け駆け

 僕の背中で証明したのだから、これはもう特許を取って、余生は贅沢三昧だ。
 以前にも書いたが、片膝ついての草抜きで、背筋を傷めて1年近く回復にかかった。勝手に持病と決め込んで草抜きに励んでいたから、治る機会はなかった。わしら農家の人間は、そうしてみんな強くなると、体育会系の助言をしてくれた人がいたが、薬局の仕事に支障が出るほどつらかった。ある時、この不自然な姿勢が原因ではないかと気付き、両膝をついて草抜きを始めたら何となく痛みが違うことに気が付き、以後次第に背中の痛みから解放されていった。
 ただ両膝を地面につくと、当然朝晩ズボンを着替えなければならない。そこで目に止まったのが妻がかつて買って使わずにいた膝当てだ。草抜き用のもので、膝頭を保護するプロテクターで、マジックテープで固定する。ただし、そのマジックテープもほどなく過酷な使われように耐えきれなくなり、役に立たなくなった。そこでバレーボールをしていた頃のサポーターを思い出し使ってみたら、なにぶん雨に弱い。
 雨上がりに草抜きは快感に近いくらい能率が上がる。しかし地面が濡れているからスポーツ用のサポーターは役に立たない。そこからは工夫が追い付かなくて、土が多くの水を含んでいる時には作業をしないことで妥協していた。せっかくのチャンスが生かせないことになった。魚群を見つけても網を降ろさない漁師のようなものだ。
 そこで思い付いたのが僕の特許。どうしても草を抜きたいと言う僕の熱意が頭をフル回転させた。必要はやはり「母」なのだ。
 両膝を雨上がりの水分を多く含んだ地面に安心してつける。そして草を求めて簡単に移動できる。この二つの条件を満たすものを僕は考えたのだ。そして試作品もちゃんと作り、毎日実証実験を繰り返している。どこの会社が製品化してくれるか分からないが、1000円で売ろうか、もっと暴利をむさぼって2000円にしようか迷っている。特許代を稼ぐ方がいいのか、会社を興して大儲けがいいのか。もうほとんど理性を失っている。もうこうなれば今の政治屋のように「金、金、金」
 ここでこっそり僕の考えた草抜き膝付き機の構造を披露しよう。まず毎日のように薬を送ってくる大きな段ボール箱をよこ40cm、縦20㎝に切り、それをスーパーで5円出せばくれるビニール袋の中に入れる。持ち手の所をくくれば出来上がり。雨にも負けず土にも負けず、軽くて簡単に移動できる、これこそヤマト式草抜き用膝付き機だ。
 これを読んでも抜け駆けはしないでね。

 

統一教会と関わって何が悪いの?正直わからない。安倍晋三に匹敵するボンボン三代目政治家福田達夫。自民党の血も涙もない開き直り。安冨歩東大教授。一月万冊 - YouTube