錯覚

 2時間かけて綺麗にしてくれた箇所を見て驚いた。僕に同じことをやれと言われたら、何か月かかってもできない。丸で草刈り業者に頼んだみたいではなく、それ以上なのだ。
 ある女性は大型の草刈り機で、ある女性はナイロン歯の小型の草刈り機で大型ではできない細かいところを、ある女性は鎌で、ある女性は素手で、それぞれ最適な方法で除草してくれた。
 この暑いさなか、僕が頼んだのではない。向こうがお盆の4連休の1日を僕に提供してくれたのだ。昼ごはん持参でやってきたから、どれだけの時間草と格闘してくれるのか不安だったから、2時間が来たところで僕が頼んで辞めてもらった。しかし3段の段々畑の一番下の段が、きれいになった。僕があこがれていた土が顔を出したのだ。丹念に草を排除してくれたから、まるで造成が終わって引き渡されたときみたいだった。この光景を求めて、僕は農家から譲ってもらったんだと、わずか1年前の動機を思い出した。想像を超える草の生命力に無残にも消え失せそうになっていた原風景だ。
 草と格闘してくれていた女性たちを見て、僕は幸せな人間だと思った。誰がこんなことをしてくれるだろう。良い心だけが、言葉の壁で出来たフィルターを通過する。悪意の入り込みにくい関係を20年近く続けてこれた。頭の先から足先までどこも露出しない格好の、いわば戦闘服で身を固めた姿の美しいこと。また訪ねたことがない彼の国での風景そのもののように錯覚する。

 

安倍晋三と統一教会のアイドル。安倍と共に消える杉田水脈の命運。差別的思想はカルト宗教とピッタリ一致していた。#杉田水脈氏の総務政務官起用に抗議します。元博報堂作家本間龍さんと一月万冊 - YouTube