カモメが飛んだ

 カモメが飛んだ。いやメガネが飛んだ。
 昨日の夕方。仕事を終えた後すぐに草抜きに行った。数日雨が続いたから、土の中には十分水が残っていて、根を全く残さず面白いように抜ける。それはそれはもう草抜きを日課としている僕にとってはほとんど快感に近く、雨を待ったりする自分に気が付く。
 昨日の夕方は雨が上がってからかなり時間が経っていたので、蚊が出てくると思われたので、麦わら帽子に黒色のネットをかぶせ、万全の態勢で作業に入った。ところが、ネットを首の所で絞めるのだが、息苦しいのは嫌だから結構ルーズに「かぶっている」だけの状態にしていた。すると蚊はわずかにできた隙間を通ってネットの中に入ってきた。ブーンというあの嫌な羽音もすぐそばで聞こえる。もうそれだけで痒くなりそうで、僕はネットを振り払い麦わら帽子を慌てて脱ごうとした。すると、使ってはいないが麦わら帽子を顎に止める紐がメガネに引っかかり、強引に脱いだものだから、まるでゴム銃の玉のように、メガネが飛んで行った。
 結構遠くで物が落ちる音がした。金属音ではなく、柔らかい小さな音だった。7時頃だから少し薄暗くはなってきているが、所詮バラスか草か土の上に落ちたのだから見つけることは簡単だろうと高をくくっていた。
 ところがこれが意外と見つからなかった。正面に向かって脱いだから、そしてかすかな音が正面辺りでしたから、駐車場のバラスの上という前提で、踏みつけないように腰を曲げて慎重に探した。メガネがないからあまり見えないが、さすがにメガネくらい大きければ裸眼でも見つけられる。しかし、何往復もしたのに結局はメガネは見つからなかった。となると、草の中か土の上だ。土の場所は簡単に探すことはできるが、そこにも結局はなかった。
 となると草の上だ。メガネを踏んだら元も子もないので、慎重にまるで地雷を避けるようにゆっくりと歩いて探したが見つからなかった。結局暗くなりすぎたので諦めて帰った。
 今朝いつものように6時頃に、荷づくり紐を持ってドックランに行った。確実に探して、ないと断定できたエリアを紐で囲もうと思ったのだ。そうすると同じところを行ったり来たりする無駄がなくなる。少しずつ捜索範囲を広げ紐で陣地を増やしていく。昨夜寝ながら考えた作戦だ。
 歩きながら真上からのぞき込むだけでは見つからないから、視点を変えて、草を抜きながら探したら一挙両独だと思い、腰を下ろして草抜きに専念し、時々四方を眺めてみる。草は結構抜けて気持ち良くなるが、肝心のメガネは見つからない。途中から妻も加わって探してくれたが、草が抜かれて綺麗になるばかりだった。
 もう10分くらいで薬局を開けなければならなくなったから、諦めて帰ろうとしたのだが、最後にもう一度昨日の夕方の自分の行動を振り返ってみた。昨日も今朝も音がした方向、正面だが15メートル先までくまなく探した。そこでふと考えた。果たして紐に引っかかり振り払っただけで15メートルも飛ぶだろうかと。手で投げても15メートルだったらその気にならないと届かないだろう。それではあの時、正面方向でした小さな音は何だったのだろう。
 昨日と同じ仕草を麦わら帽子をかぶったままやってみた。すると頭を左右に振った。ということは正面に飛んで行ったのではないのではないと考えた。そしてふと左側を見ると、わずか1メートルくらいしか離れていない所にメガネが落ちていた。諦める寸前だったので、劇的な見つかり方に感動して大声を上げた。
 至近距離だが、下手をしていたら踏みつけていただろう場所で、そこは最初から可能性がない場所としてノーマークだった。逆に、そこには落ちていないと言う前提だから自由に歩き回っていた。よくも踏みつけなかったなと考えたら冷や汗ものだ。
 昨日からその場にはおそらく行ったり来たりしながら、30分はいたと思うが、見事に砂利に溶け込んでいて見つからなかったと言うことにメガネのフレームが黒く、ガラスが透明。だからメガネとバラスに切れ目がない。まさにバラスに溶け込んでいたのだ。まるで保護色。
 やみくもに探すこと2時間余り。疑似体験10秒。後者に軍配が上がった。とんだドジから始まった劇だが、結構示唆に富んだ出来事だった。

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