２週間前に、起立性調節障害の漢方薬を持って帰った少年に、「どうだった？」と尋ねると「だいぶいいです」と答えた。起立性調節障害は結構時間がかかるトラブルだから「だいぶいい」と言う返事では、どの程度の改善かなかなかつかみにくい。そこで聞き方を変えて「何時ごろ起きれるようになったの？」と尋ねると、「昨日は７時、今日は疲れたから１０時」とお母さんに確認しながら教えてくれた。ただ、この数字にはピンとこなかった。夕方の７時？夜の１０時？それでは悪化ではないか。この子が起き上がれるのは１７時だったから。そう夕方の５時まで寝ている子なのだ。そこでバカみたいな質問だが「７時って朝の７時？１０時って朝の１０時？」と確認した。嬉しいことにこの不可解な答えは夢の午前７時と１０時だったのだ。道理で親子の表情が明るかった。
恐らくこんなに良く効いたのは、病院にかかる前に僕の所に来てくれたおかげだろう。たいてい新規の漢方相談は、病院を渡り歩いてだめだから来てくれるのがほとんどで、こじれてしまってからでないと来てくれない。だから当然症状が進んでいて、お世話に苦労する。
３週間ぶりに昨日学校にも行けたみたいで、これからに期待できる。こうした貢献が出来るのは本当にうれしいことだ。多くの知識を教えてくださった僕の先生とそのまた上の先生に感謝だ。僕ごときでも仕事をしていて楽しいのだから、僕の先生はもっともっと楽しかっただろうなとふと思った。講義もとても楽しそうにしてくださり、僕みたいな形式ばった空気が嫌いな人間も受け入れてくださった。頭脳はかなり違うが、仕事に対しての想いは失礼ながら似ていたのかもしれない。
やがて自身の体をコントロールできずにこの現場から離れるのだが、ここに立つ間は、楽しくお役に立つをモットーにし続けれたらと思う。僕より１００倍元気な若者のお世話が出来るなんて「恵まれ過ぎじゃあ！」
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