なるほど言われてみればその通りだ。人に指摘されてはじめてはっきりと意識化される。うすうすは気がついていたのだが。
へちまを持ってきて、へちま水を作ってと頼まれるこの方は、年に一度やって来るだけの方。たわいもない言葉を交わしていたのだが「今年は蚊が少なかった。痒い痒いとかいた記憶がない」と言った。「確かに、確かに」とそこで僕もはっきりと認識した。
ドッグランに行き、草刈り機を使っていると、草から飛び出してきた蚊達に攻撃される。ジャージを着て、ネット付きの麦わら帽子をかぶっていても、どこからか入って来た蚊にやられる。さすがにこの種の蚊は沢山いるが、確かに家の中で、それも眠っているときのあのうるさい羽音を今年は聞いていない。
その女性は「蚊も35度を超えると暑くて外に出ないらしいですよ」と、何の受け売りか知らないがそう言った。何の疑いもなく僕はなるほどと頷いた。蚊も35度を越えると熱中症警報が出るのか、命が大切らしい。
確かに炎天下の中、ベトナム人女性たちと墓山に登ったが、その時も蚊一匹出なかった。
猛暑でよかったことの一つかもしれない。深夜の羽音はかなりのストレスだから、あれがなかっただけでもありがたい。それではよかったことのもう一つや二つは・・・ない。
