感謝

 僕の薬局が大切にしているOTC薬品の中でも1,2位を争うものが、ササヘルスだ。その薬の本社は神奈川県にあり、セールスもそこから毎月一度来てくれる。現在担当してくれているセールスは若くて、遠慮気味で、立ち話だけで帰って行っていた。それを見ていた僕は遠路はるばる来てくれているのに気の毒に思っていて、前回来た時に偶然僕が応対したので、コーヒーを飲みながら色々な情報を貰った。
 牛窓は田舎だから、日本の中心からやってくるセールスがもたらしてくれる情報は新鮮で、僕も父もできる限りもてなした。ところが僕の次の世代は、そうした気持ちがわかないのか立ち話だけで帰してしまう。父、僕と受け継いだもてなしは、途絶えてしまうのかもしれない。
 そのセールスは、こんな田舎に似つかわしくないと思ったのか、やたら薬局の雰囲気を褒めてくれる。娘が工夫を凝らして作り上げているから、訴える所もあるのかもしれないが、若い女性でも気楽に入ってこれると褒めてくれた。
 そんな彼が遠慮気味に、グーグル上に写真を載せると、もう少し僕の薬局を理解し安くなると教えてくれた。グーグルの地図上で、僕の薬局をクリックすると、薬局の中が分かると言うものらしいのだが、僕は具体的なものは想像できないまま、良心的な青年が何か僕のためにしてくれるんだと言う気持ちで、行為に甘んじることにした。
 もう1か月くらい前のことだが、僕はいったい彼は何をしてくれたんだろうとずっと頭にひかかっていた。何をしてくれたのか目に見えないのだ。
 昨日その彼が1か月ぶりに来たから、何をしてくれたのか尋ねてみた。すると彼はおもむろに僕のパソコンをいじり出し、googlmapから僕の薬局を選び出し、それをクリックした。すると彼が先月薬局の中を何枚も写真を撮っていたが、それらが掲載されていた。
 確かにこれだけ中身を見せてあげると、初めてくる方も気持ちが楽かもしれない。豪華なソファ-に腰を掛けさせられ、長時間プロでもわからないような漢方理論を聞かされ、高価なものを勧められて、断れないまま帰って行く、そんな最悪の薬局には見えないだろう。
 こんなことをしてくれたんだと、若いセールスの好意と技術に驚き感謝だが、時代に左右されない普遍的な価値の残り香にも必死に手をかけている。

木原官房副長官の妻の疑惑事件・・・被害者遺族記者会見。自ら命を絶つ理由がない・・・木原氏は真実を語って欲しいと要望。木原氏は事実無根と主張。安冨歩東大教授。一月万冊 - YouTube