少数派

 お嬢さんが、1週間くらい頭痛で苦しんでいるのを心配しているお母さん。大病院でMRI検査までしてもらい原因がないと言われたから、安心して経過を見ていればいいが、母親としてはそんな流暢なことは言っておれない。夜も添い寝してあげているみたいで、本人の体力も心配なくらい落ちていて、逆に気だけ立っているのだろう、よく喋る。
 テーブルに向かい合って腰を掛けていて、僕の方が外を見ている形だ。だから薬局の直前で、急にパトカーがサイレンを鳴らして走り去っても、僕は何ら驚きもしなかった。しかしその母親は、大声を上げて飛びあがった。普通、よほどトラウマでもない限りパトカーの音で飛び上がったりしないが、1週間お嬢さんの看病をしていたからナーバスになっていたのだろう。
 その驚きようがさすがに気恥ずかしかったのか「今日はこれで2回目」と午前中の出来事も教えてくれた。
 これは瀬戸内市だけのことか全国的な事か知らないが、午前中に地震警報のサイレンが鳴った。僕は前もってサイレンが鳴ることを放送で知っていたが、彼女の家が放送が聞こえにくい所にあるらしく、全くの寝耳に水だったらしくて、本当に地震が来ると思ったらしい。
 丁度料理中だったらしく、慌てて火を消し、それこそ病気で寝ているお嬢さんを起こして家の外に出たらしい。一瞬訓練かもと思ったらしいが、丁度火を消したタイミングで、一人の男性が土手を走っている姿が見えて、地震を確信して懸命に家の外に避難したらしい。
 恐らくその時も気恥ずかしかっただろうから、気恥ずかしいのも今日は2回目だ。
 心配性の方が、ほとんど寝ずにお子さんの心配をする。僕ならその性格をよく知っているから、言い方も考えるが、大病院の先生にとっては命を守ることが第一義だから、病気が隠れていないことを教えてあげればそれで済む。MRIまで駆使して診察してくれたことに感謝して回復を待つような肝っ玉が据わったお母さんは、どちらかと言うと少数派だと思う。

【維新、パワハラ恫喝 再び発生】『維新は最悪の選択肢』がドレンド入り❗️猪瀬議員、スマホ音と大あくびで国会一時中断、そのほか不祥事が立て続けに起こる - YouTube