ずいぶん昔のことだが、閉店間際に、ある男性がお供を連れて入ってきた。一瞬その端正な顔立ちに見入るほどだったが、ほどなくその男性が神田正輝だと分かった。僕らは写真やテレビなど、平面でしか見ることがないから、立体的に見ることが出来た時のハンサムさ、女性で言うと美しさは、数段違ってくる。ひょっとしたら本人だと気が付かないくらいの差もある。
はじめ耳を疑ったが、ロケ中で毎晩、２，3時間しか眠っていないみたいで、何とか体力を回復してほしいと言う要望だった。僕には自分がインフルエンザに罹ったときには、必ず飲む処方があり、運が良ければ数時間で悪寒や発熱、極度の倦怠感、関節の痛みが消える。要は滅茶苦茶体力を回復させるもので、それを彼に飲んでもらった。すると良く効いてくれたみたいで、翌日も閉店間際にやってきてその薬を飲んだ。
牛窓のロケが終わって帰る時に、これからも薬を送ってもらいたがっていたが、マネージャーらしき人が東京で手に入れるからと言って、結局はそこまでの関係だった。
彼のことを思い出したのは、お嬢さんが亡くなられたというニュースを今朝見たからだ。痛々しくて報道は詳しくは見ていないが、ミュージカルの全国公演の初日だと言う話だ。その上主役だそうだ。かつて体調や仕事や漢方薬について話をした時、彼の態度に惹かれるところが多々あったが、その時に感じた彼の気質をお嬢さんが受け継いでいたら、責任感からあのような選択をしてしまうとも考えられる。
当時有名な俳優が、とてもフレンドリーに接してくれ、僕の技術にとても興味を示し、尊敬をしてくれた。華々しさの中に、ごくごく普通の庶民が持っている心根を多く残していることに安堵したことを覚えている。
あの時は彼も僕も若かったが、今朝のニュースで同じ歳だと初めて知った。人生の終盤に、一番あってほしくないことに遭遇した悲しみは計り知れない。１００％覚えている人間が、１００％忘れているだろう人の心配をする必要はないが、ブラックな労働現場を目撃した僕としては、ひょっとしたらお嬢さんもと、勘ぐってしまう。
オミクロン変異株市中感染拡大、小池百合子牛乳一気飲み、維新のアホな行動と言動、公文書改竄･･･数日休んだらゴミニュースが多すぎる･･･安冨歩東大教授。一月万冊 - YouTube
