何の気なしに尋ねたのだが、答えを聞いて問い直した。
 北海道の女性が、漢方薬の注文を毎回電話でくださる。独特のゆっくりした喋り方で気持ちが和むから、少し雑談もする。
 北海道は行ったこともないから、イメージできるものは少ない。もともと興味がないから、材料は何かの観光宣伝用のポスターかニュースくらいなものだ。
 今回の熊との遭遇事故は結論があまりにも残酷だったので印象にかなり強烈に残った。
 恐怖のレベルは段違いだが、熊をイノシシに置き換えると、北海道の方々のストレスを疑似体験できる。だから「北海道にイノシシは出るの?」と尋ねてみた。すると「出ない」と答えてその後すぐに「いない」と言い直した。「出ない」の後に「いない」ときたから、その方の暮らす辺りにいないと言う意味か、そもそも北海道にはいないのか迷った。そこで問い直してみるとやはり「北海道にイノシシはいない」と言う意味だった。
 牛窓で一番賑やかな場所の、僕の薬局があるところでもイノシシが出没するくらいだから、日常的にイノシシに関して話題に上がることが多い。もし本当に北海道にイノシシがいないとなれば、イノシシも熊が怖くて一緒にはおれないからだろうかと、幼稚な発想をした。胃袋から人間の頭部が出てくるくらい凶暴なのだから、イノシシなど一コロだろう。だから熊とは共存できないのではないか。人間なんかよりはるかに旨そうなのだから、熊が見逃すはずがない。
 もともと北海道にはいなかったのか、津軽海峡を渡って逃げたのか分からないが、
そしてそもそもその女性の言ったことが間違っているのかっ分からないが、かつてなら考えられないようなことが話題になる。自然も社会も変わる。僕ら戦後派が、何とか穏やかな時代を過ごせて来れたことは有難いことかもしれない。スリリングではなかったが。

これだけは知ってほしい維新と竹中平蔵の汚い手口【竹中平蔵研究vol 18】 - YouTube