狭間

 段々と、疲労度が伝わって来る。道中の輝いていた目が、まだ正午だと言うのに対象を追い求めていないように見える。
 10時開始の、四国から集まった獅子舞の競演には、さすがに目を見張っていたが、それが済んだころからは、興味の対象を探す素振りが全くなくなった。僕などの感性では、どうしてそこで写真を撮るのと言うような場所で、30分くらい粘る。その光景を直視できないから僕はひたすら待つだけだが、何年後かにその写真を見ても、訪れたところさえ思い出せないようなアングルだ。僕にはそれが憐れに見えて、距離をとって他所の方向に顔を向けひたすら待つ。
 結局大道芸は一つを除いて見ないまま帰ることになった。そこで通訳に尋ねてみた。「どうして、AさんとBさんはあんなに疲れているの?」と。20歳代で30に近いのか20に近いのか分からないが、その若さでどうして、僕でも余裕をもってこなせていることが二人には負担になるのが解せない。先日和気神社に行ったときには、同僚が残業がもっと増えるようにとお祈りしていたくらい体力があるはずなのに。
 通訳がその答えを教えてくれた。二人は山の出身と言う。山の農家だから幼い時から農業を手伝っているから体力は当然あるそうだ。しかし、学校と畑の手伝いばかりしてきたから遊んだ経験がないそうだ。だから日本に来ても休日は寮で寝てばかりらしい。だからこうして車と電車を乗り継いで、人が集まる祭りなど言語道断なのだ。
 確かに朝、瀬戸大橋の上を電車が走っても、席を確保することに一所懸命だったし、帰路の丸亀、坂出の数分の間にも、2人は眠りこけていた。僕が起こさなければ、そのまま確実に高松まで乗って行ったはずだ。
 僕はドングランの草刈りを手伝ってくれたお礼をしたかったので、彼女たちを優先して連れて行ったのだが、迷惑だったのではと後悔した。
 別れる時に気になって尋ねてみた。「今日は楽しかった?」と。通訳を介して楽しかったと返事をしてくれたが、あの極端な疲労困憊ぶりを見たら、迷惑なお節介でしかなかったのではと思った。ただ、そうした事情を聞いてしまったから、余計日本の素晴らしい所や行事や文化を体験して帰ってほしいとも思った。親切とお節介の狭間で揺れるが、お節介でないと実現しない親切もあるから心苦しい。

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