筋肉

 何でそんな話になったのか?そうだ、汚部がやられてから、少しずつ政治の暗部があぶり出されている認識で3人の意見が一致したからだ。
 玉野教会の掃除の日、前回から僕は掃除の居場所を見つけたから、隣の空き地から庭に落ちてきた枯葉を竹箒で集めていた。そこに二人の男性が来て一緒に掃除を始めてくれた。教会の先輩たちで、掃除の日どころか常に教会を維持管理してくださっている敬虔なクリスチャンだ。二人とも九州、恐らく五島列島の出身ではないかと思うが、あまりにも宗教心が根付き過ぎているから、顔の堀が深くて、英語でも話していたらカソリック圏の人と間違うだろう。
 「後ろからブスッと来たら仕方ないけれど、前からなら怖くなかったもんね」と言った男性は、剣道 柔道 空手の合計で8段らしい。前から攻撃されたときに、横に身体を逃がし、そのまま反撃する術を実演して見せてくれた。後ろから来た時はこう、胸倉を掴まれた時はこうと、教えてくれたのだが、ふと僕の手が彼の背中に当たったときに、筋肉の塊に気が付いた。なんとなく馬の背中の筋肉を連想した。普段とてもおとなしくて、九州訛りでとつとつと話すから、どちらかと言うと「静」のイメージがあったが、あれだけの筋肉を持っている人はあまりいないと思う。そこで知ったのが、前述の合計8段なのだ。
 なんでも若い時に胸倉を掴まれたときにその掴んだ手で背負い投げをしたらしいが、落ちる瞬間、相手の頭が地面にたたきつけられないように頭を持ちあげ、保護したらしい。有段者が技を使ったらいけないと、掃除が終わった頃通りかかった男性が教えてくれたのだが、彼も又有段者だった。彼の方はどう見ても柔道3段には見えない。ただし、僕がその筋肉に驚いた方の男性は、信じる。教えてくれるために技の真似事を僕にして見せたが、その素早い動きだけで怖かったから。
 僕が驚いたここまでの話はまるで序章。一番驚いたことはその男性の年齢。本人からでなく通りかかった有段者が教えてくれた年齢がなんと「82歳」。僕はもう20くらい玉野教会でお会いしているが、82歳には驚いた。あの筋肉は壮年の格闘家のものだし、見かけは70歳を超えてまだ真ん中には達していそうもない。職業柄、毎日何十人もの人と相対して数十年。そんな僕を騙してしまうほどの肉体。
 鍛えればここまでできるのかと、驚いたが、その方曰く「さすがに筋肉が半分くらいに落ちてきた」
「元は、どのくらいあったんじゃあ!」

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