芸当

 あるおばあさんが、今日も野菜を段ボール箱に入れ自転車で持ってきてくれた。中にはブロッコリーとネギがいっぱい入っていた。「先生にいつもお世話になっています。今日は鍼を打ってもらってスッキリしました」と礼を言われるのだが、僕は直接関係ないから、「ありがたくいただきます。これは息子に渡しておきます。でも、気を遣わないようにしてください」と、毎度同じ言葉を返す。
 数年前に、胃の初期ガンを見つけてもらったらしいが、それ以来しばしば運んでくれる。ただ、僕は頂くことにあまり慣れていないので、結構憂鬱だ。遠慮を装って実は頂く、そんな芸当を演じるのは1回でも減らしたい。世の潤滑油みたいな作法が僕は苦手だ。
 今日はいつもとお礼の理由が違った。鍼の効果を評価してくれていたのが珍しく、そんなこともあるんだと思った。もうずいぶん前だが、ぎっくり腰で動けなかった時に、帰宅してすぐの息子に鍼を打ってもらった。やったばかりのぎっくり腰だから、全然効かなかった。鍼おたくの僕だから下手なのもよく分かった。それよりも何よりも、帰宅してすぐに仕事の延長みたいなことをやらせた方が心苦しくて、それ以来頼んだことはない。
 僕は遠慮もないし上手だから本職の鍼の先生に行く。ただ遠いから、僕は行けても患者さんに勧めることはできない。その上、鍼治療や指圧の効果は僕はかなり評価しているのだが、なにぶん高い。材料費がほとんどかからないのだから、もっと安くしたらいいのにと外部から見ていて思う。だから下手でも病院で鍼を打ってもらったりするのだ。
 部外者が何を憂えているのだと思われるかもしれないが、経済的に余裕がある人だけを対象にしてはいけないという単純なこと。僕らの業界も同じだから自戒の意味も込めて、つくづくそう思う。

 

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