隠れ

 牛窓に越してきた方から「指圧をやってくれるところはないんですか?」と尋ねられた。やっているところは1か所ある?が、面識がないから紹介しづらかった。僕より年長だからもう引退されているかもしれないし。そもそもお世話になっている方をこの10年くらい聞いたこともない。
 そこで、指圧とか鍼とかマッサージとか整体とか整骨とか、手もみとか、まるで区分がつかないような職種について調べてみた。調べてみて分かったことは「めんどうくさい」ってこと。何がと言うと、法律的な垣根と実際の垣根が混在しているように思えたからだ。
 最近、免許がなくてもやたら看板が出ているものがあるが、見方によっては一番華やかだが、誰でもできるらしい。治療ではなく癒しを与えればいいみたいだが、癒しを求めて、敢えて専門家を避けてそこを選択するのが不思議だ。
 僕はひょっと事故があった場合を想定して、国家資格を持っている人以外には治療をゆだねないが、えてしてそういった方は商売下手で、後塵を拝している。専門家のほうが目立たないのだ。
 「泣く子と資本家には勝てない」は、この業界でもいえることなのだろう。
 この構造は、目の不自由な方の仕事を、健常者が奪っているという面とも重なる。僕は何年も、5人の目の不自由な方のお世話になったが、腕はよかった。この10年くらいは、あいにく僕が老いて、かつてのように治療に反応して奇跡みたいに改善することはなかったが、健常者で宣伝上手な施術者より遥かに心地よかった。
 得てして流行っている店は、ホームページのうたい文句の通り国家資格を持っているのに、癒しを売りにしていて、おしゃべりが堪能で、せっかくの爆睡時間をしゃべり続けられる攻撃にもうんざりした。僕みたいにベテランの患者はひたすら治療に専念してくれる人を好む。欲しいのは癒しではなく効果そのものだから。
 恐らく年の割にはよく緊張し、よく働いている僕にとって筋肉の緊張を取ってもらえることは、漢方薬でお世話させてもらえる人の数を減らさなくて済むことに直結する。昨年限界を超えすぎて、仕事の質を落としたような気がしたから、いまはセーブさせていただいているが、お世話させていただいた方の治癒率は確実に回復した。
 牛窓に指圧や鍼灸の先生を呼ぶ、確かにそれが叶えば喜ぶ人も多いだろう。人口の少ない町で頑張って生計を立ててくれる人がいるのかどうかわからないが、ヘビーユーザーの僕だからこそ考えてもいいのかもしれない。隠れ和太鼓評論家、隠れ鍼灸・指圧評論家でもあるのだから。

 

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