弱者

 3日に一度はやってくる人が何人かいて、その人たちにとっては薬局の香りが日替わりなのは気が付くみたいで「今日は何の薬でえ?」と好奇心を丸出しにする。薬局の片隅で僕の漢方薬を煎じるのに出くわすと、香りが強くて誰もが気が付くし、残り香でも、漢方薬と縁がない人は臭いと思うみたいだ。ただし、薬局にやって来る方の半数は漢方薬を飲んでいる方だから、押しなべて好意的で「いい香りじゃなあ」とか「私のとよく似ている」などと感想を聞かせてくれる。
 今日ある女性がいつものように「何の薬でえ?」と尋ねてきたから「ウクライナの人たちにロシアに負けずに頑張ってもらえる薬じゃあ」と答えた。その後で「いい香りで気持ちをさわやかにするもの、元気になるもの、ロシアをやっつけるもの、いや間違った、ウイルスをやっつけるもの、自律神経を安定させるものをごちゃまぜして作っている」と解説したら「私のと一緒のも入っている?」となお尋ねるから「気持ちをルンルンにするのと、自律神経を安定させるのは同じじゃ」と答えた。すると「なんか匂いが似ていると思った」となかなかいい嗅覚をしている。
 どうも僕が自由に薬を作って飲んでいるのがうらやましいみたいで「ええなあ、勝手に作れて」と言うが、自分用には勝手に作れても、皆さんには規則がある。僕と同じようなものを服用しようとすればかなりの費用を要する。だからいつも「どこが一番つらい?」と尋ねるのだ。解決したいものから順番に挑戦していたら付随症状が一気に取れることがあり、漢方薬の不思議を実感することがある。体調など体のあらゆるものが連絡しあっているのだと勉強になる。
 西側諸国も体のように緊密に連絡しあい、己の欲望を優先せずにウクライナを助けてほしい。強者が絶対でないから、弱者は生きていけれるのだから。

 

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